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第33回りっつん夜学 「プレイバックシアター入門 ~聴くレッスン・表現する楽しさ~」

大暑を控えた暑い夏の夜、第33回目のりっつん夜学が開催されました。

今回の夜学のテーマはプレイバックシアター。プレイバックシアターは、観客や参加者が自分の体験したできごとを語り、それをその場ですぐに即興劇として演じる(プレイバックする)独創的な即興演劇です。芸術的な側面を持つ一方で、その場で演じるもの(アクター)、語るもの(テラー)、観るもの(観客)が、共感や知恵、勇気や癒しをえることができます。 1975年にアメリカで生まれたプレイバックシアターは、現在では世界50カ国以上で劇場の舞台はもちろん、ワークショップや教育の場、臨床や治療現場など広く活用されています。

プレイバックシアターの創始者、ジョナサン・フォックスはネパールのある民族との強制体験の中で、彼らが火を囲んで互いの体験を語り合い、その場で即興で劇にするという空間を目にしました。夜の空間や火の力が持つ不思議な力についてはもちろんのこと、即興劇の中でごく普通の人たちが一瞬にしてアクターになっていることに感銘を受け、帰国後「口承文化の伝統」と「即興性のある演劇」の2つを結びつけてプレイバックシアターを生み出しました。その後、様々な手法を経て、現在のようなテラーが体験を語り、それを即興劇として再現するという手法が確立されました。

プレイバックシアター・トポス代表の宮澤正江さん

今夜の夜学講師はつくばで活躍されているプレイバックシアター・トポス代表の宮澤正江さんです。トポスとはギリシャ語で時間・空間を表します。今日のこの時間とりっつんのこの空間を使って、いったいどのような素敵な夜学に誘ってくださるのでしょうか・・・?

りっつんの夜学では「知る、考える、そして方法を見つけ出す」ことを目的としていますがプレイバックシアターではまず、「体を通して知り、味わう」ことが一番。「考えるのは3日後くらいでいいですよ」と宮澤さん。

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夜学参加者はお客様、スタッフを含めて12人。輪になって立ち、お互いに自己紹介をはじめます。まずは自分が読んでほしいニックネーム(ちなみに宮澤さんは「みや」です)、そして今回の夜学に期待していることをお互いに伝え合いました。ほとんどの人がプレイバックシアターは初体験のため、どんなものだろう・・・と期待と不安を感じながらもある人は新しい表現方法や興奮を求め、またある人は周りの人の垣根を無くそうと思ってやってきました。

講師の宮澤さん(以下:みやさん)も自己紹介をしてくださりました。1998年にプレイバックシアターに出会ったみやさんはその魅力に取り付かれ、今から2年ほど前にプレイバックシアターの専門学校を卒業し、ワークショップなどを続けていらっしゃいます。

みやさんの説明によると、プレイバックシアターで必要なことは、まず語る人と語られる物語を敬うこと、そして語り手のお話に共感すること、常に遊び心を持って楽しむこと、なのだそうです。またプレイバックシアターは特に治療を目的とするものではありませんが、様々な思いを他人と共有することで、結果的に治療につながることがあるということです。

何よりも大切なのは語り継がれる場を持つこと、人の思いを大切なものとして受け止めることです。その中で決してしてはならないのは、人の話を批判したり、評価したり、または勝手に解釈したり、決め付けたり、助言を行うことです。「自分の体験と結びつけて共感することはいいのですが。」とみやさん。なるほど、キーワードは「共感」ですね。

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いよいよワークショップが始まります。

夜学の様子

まずは皆さん、それぞれ自分のニックネームにオリジナルの振りをつけて表現しました。一人が振りをつけると、それを皆で真似して演じます。恥ずかしがりながらも、心はすでに役者になっている皆さん。全員の振りが2周すると、12人全ての名前を簡単に覚えてしまいました。

ちなみに…スタッフTは少し膝を開いて曲げるポーズで自分を表現。「私は、少しガニ股歩きなので、膝を開いて曲げるポーズで自分を表現した」のだそうです。

次にたくさんの色の布地が並んでいる中からひとつを選び、「今の気分」を表現します。布を回してふわふわした気持ちを表したり、布の上に寝転がってぐったりしたり、布の中に隠れてしまったり。十人十色ならぬ十二人十二色のとてもユニークな表現が見られました。

ここから少しずつ体を動かすウオーミングアップです。まずは2人1組のペアを作ります。「ユル体操」といって一人がもう一人の背中をゆっくりとたたいていきます。たたかれている方は「アー」と声を出しつづけます。背中をたたきつづけていると、突然声がにごる部分が現れます。そこがこっているところなのだそうです。さらにお互いの体をマッサージしたりしてコミュニケーションを深めていきます。

「体があたたかくなってゆるんできましたか?」とみやさん。皆さん水を飲んで少し休憩します。

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あなたの宝物は何ですか?

夜学の様子

ここから少しずつ演技の要素を取り入れていきます。まず3人1組のグループを作ります。Aさんはまず語り手になり、「私の宝物」についてお話します。Aさんと向かい合って座ったBさんがその話を聞き、「宝物」になりきってAさんに話しかけます。それが「もの」であっても「人」であっても、はたまた「動物」であっても、大切にしてくれているAさんに向かってどんなことをいいたいと思っているかな?と想像しながらAさんに話を作ってプレゼントし、まさに「宝物」となるように演じていきます。このとき大切なのは、想像を膨らませすぎないように、Aさんが話してくれた内容の範囲内で演じていくこと。Cさんは2人のやり取りを観客の立場でしっかりと見ます。ここに小さなプレイバックシアターが出来上がります。

ちなみに…スタッフTの宝物はおうちで飼っている「ウサギ」ちゃん。出会ったいきさつ、姿形、性格、一緒に過ごしている様子、などなどいろんなことをお話します。「大切な存在を語るのは、少し照れるけれど、なんとも楽しいものだな」とスタッフT。語り終えると、聞き手の方が再現してくれました。「ウサギ」なら表現しやすいかな?と思っていましたが、聞き手の方は男性。恥ずかしそうにしながらも、手を頭の上にそえて、ウサギの耳をつくりながら再現してくれました。
そしてスタッフTにとって衝撃的だったのが、「いつもかわいがってくれてありがとう。私の方が短い命だけど、これからも一緒に過ごしてね。」と、聞き手の方から出た言葉。ほんの1分程度話をしただけにも関わらず、本当に飼っているウサギの気持ちが伝わってくるようで、胸にぐっときてしまったそうです。

他にもそれぞれのグループでいろんなお話が出てきました。身近にありながら、感動的なお話で泣き出してしまう人もあり、何気なく過ごしている毎日の中で自分の「宝物」を認識するだけでなく、それを皆で共感する、そんな素晴らしい時間となりました。3人がAさん、Bさん、Cさんの役割を交代して3回繰り返し、最後にグループを解散します。12人全員でひとつの輪になってどのようなことを感じたかを話し合う「シェアリング」の作業へ。多くの人が「不思議な感じ」だったといいます。ウサギの役になった人は「語り手のお話を聞くときは一生懸命聞いていたけれど、自分が演じる側になったら何も考えられず、夢中になってなりきって演じました」と言います。「語り手の人に大好きと思われていることを意識しながら、じゃあ宝物はこんなことを考えているのかな?」と考えていたという人、「宝物を思う気持ちと思われる宝物の気持ちがじんときた」という人もいました。

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「私は○○です」

夜学の様子

次にもう一度シャッフルしてまた別の3人組になりました。今度はAさんが「私は○○です。」というと、BさんとCさんがその情景にぴったりあう昔話を考えて演じます。 ○○の部分はAさんの気持ちや状態など、自由に言葉を選びます。そしてBさんとCさんの劇を見たAさんが何のお話か、タイトルを当てるというもの。「劇は語ってくれたAさんへのプレゼントですよ」とみやさん。皆さん童心に帰って役になりきり、1人ひとりのお話に対して真剣に考えて演じました。途中、劇のモチーフや演じ方がわからず、考え込んでしまったグループにはみやさんのアドバイスを頂く場面も。

ちなみに… スタッフTが選んだのは「私は家族が増え新たな道に進んでいます」という言葉。それに対して同じグループの二人からプレゼントされた物語は「白雪姫」です。二人でこびと・白雪姫・王子様を一生懸命演じて、最後は新しい家族が増えてとても素敵なハッピーエンドに。この先ずっと幸せな道を進みますようにと、願いを込めて演じてくれました。少ない言葉から想像力を膨らませ二人が演じてくれたことに、スタッフTは「すごく感謝し、とても嬉しい気持ちになりました」と言います。その後、演者として「北風と太陽」の旅人になったり、桃から産まれた桃太郎になったりと大忙し。語り手・聞き手の伝えたい気持ちが表現できるように、気が付くといつの間にか夢中になって演じていたそうです。

プレイが終わるとまた皆で集まり、今度は6人ずつ2つのグループに分かれます。2種類の「ほたるこい」の歌を合唱しました。皆さんすっかり打ち解けてとても素敵なメロディとなりました。

最後にひとつのゲームをしました。「あなたは神様ですか?」というゲームです。椅子で囲った輪の中に参加者全員が入り、目を閉じて胸をガードするように両手を胸の前に構えます。手のひらは前方に向け、目を閉じたままゆっくりと歩き、手のひら同士がぶつかった人に尋ねます「あなたは神様ですか?」。相手が「いえ、私は人間です」と言うと離れて他の人を探します。もしも相手が何も言わなかったら、神様です。2人は手をつないで2人の神様になります。さらに他の人がこの2人にぶつかると三人目の神様となり、手をつないで少しずつ神様が増えていきます。何度もこれを繰り返すと、いつの間にか全員が手をつなぎ、全員が神様になっていました。

2時間弱のプレイバックシアターはここで終わりです。参加者の皆さんこのプレイバックシアターを一文字の漢字にして表していただきました。「混:皆の魂・気持ちが混じったような感じ」「震:皆さんの言葉や気配にぶるぶるっときました」「交:気持ちが出たり入ったり」「感:たくさんのことを感じました」などなど・・・たった2時間でしたが、とても濃密な時間となったようです。

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最後に本日のまかないをいただきながらシェアリングを行い、夜学が終了しました。

本日のまかない

<本日のまかない>

◆高黍麻婆豆腐丼
◆モロヘイヤのスープ
◆レンズ豆とドライフルーツのコンポート
◆三年番茶

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夜学レポーター、スタッフKより

私は今回の夜学に先立ち、7月13日のワークショップに参加させていただきました。今回の夜学が2時間弱だったのに対し、シアター・トポスのワークショップは約3時間半と、とても長い時間を使い、最後にはテラーの体験を即興劇にして発表するというところまで体験することができました。

 

◆ある女性のお話:私は中学生の頃、とてものんびりした性格でした。吹奏楽部に入っていて、部員や先生もとてもいい人たちで毎日楽しく練習していました。先生も練習に遅刻してきてしまったりするくらい、のんびりした部活動ですが、皆で一生懸命がんばって吹奏楽コンクールの県南大会で入賞し、県大会に進むことができました。県大会では敗れてしまったけれど、県南大会で入賞したときの感動が思い出に残っています。 →この後、アクターによって練習風景やコンクールの状況、そして入賞して皆で抱き合って喜ぶまでの劇が展開されました。

◆ある男性のお話:僕の父親の話をします。僕は小さい頃、片づけができず、勉強もあまりできない子でした。父はとても厳しい人で、小学生の頃、何かと理由をつけて何ヶ月に一度かひどく殴られました。特に理由はなく、しかられるのではなくて父親の気分の悪いときに怒られるのです。教科書を破られたり、殴られてどす黒い鼻血が出たことを覚えています。一通り怒ると父はおとなしくなり、僕はぐったりと打ちひしがれます。 →この後、アクターによって少年と父親の情景が演じられました。

即興劇でも特に大切なのはコンダクターの役目です。皆さんも個人的なお話をしていると感情的になったり、話がうまくまとまらなかったりしてしまった経験があるのではないでしょうか。コンダクターはそのお話を受け止めながら客観的に整理してアクターが演じやすいようにさりげなくふるまってくれます。個人の体験を尊重しながら倫理的な面でも気を配り、テラー、アクター、観客の全ての人が安心して語り、聞くことができます。「演技なんてできない」と思っていた私も最後には全身を使って劇の役になりきって楽しむことができました。

今回のプレイバックシアターでは時間の制約もあり、テラーのお話による即興劇にまで挑戦することができなかったのですが、みやさんこと宮澤正江さん率いるシアター・トポスはつくばゆかりの森で毎月ワークショップや練習を行われています。みなさんも是非一度、参加してみてはいかがでしょうか。きっとこれまでに体験したことのない、新しい世界に出会うことができるでしょう。

夜学の様子


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参加したみなさんの感想

  • ◆最初に「今日期待していることは?」と尋ねられましたが、期待していたものが全て、家々それ以上に得られて、がんばってここまできた甲斐がありました。このりっつんが作り出している空間が素敵な「場」を作っていて、みやさんがその空間に素敵な「時」を注いでくれて、みんながそれを支えたんだなあって思いました。全て感謝です。ありがとうございました。
  • ◆とても楽しくワークできました。自分でも意外な感じ(楽しめたということ)がしています。ありがとう
  • ◆人前で演じることはしばらくしていなくて、自分にできるのだろうか、夜学では何をやるのか、と不安でもありましたが、ワークをやるうちにどんどん体がほぐれてきて、自然と言葉が出てきて不思議でした。考えすぎて言葉が出てこないことがあったりしたのですが、素直に相手の気持ちになればどんどん言葉が出てくるなと思いました。楽しかったです。ありがとうございました。
  • ◆人前で演じたりすることは苦手だけれど、少人数だったのとお題のおかげもあり、楽しくできました。宝物の気持ちを伝えてもらえてすごく嬉しくなりました。自分が他の人の宝物になったときは、その人にありがとうって気持ちが沸いてきて、その人を守りたいとか、応援したいとか、幸せにした―いって思いました。
  • ◆最初はとても緊張しましたが、途中から色々な自分が出てきて楽しかったです。そして何よりも初めて会った方たちと仲良くなり、和やかな気持ちになれました。名前をすぐ思えられることができたのにビックリしました。
  • ◆自分にどんなことが起こるのか?楽しみにしていました。皆さんから頂いたものが多く、楽しめました。表現することは困難でした。
  • ◆不思議な時を過ごさせていただきました。もう少し、深く入りたかった気持ちが残ります。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。

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今回の夜学のご案内

【第33回目】 7月18日(金)19:00~21:30
「プレイバックシアター入門 ~聴くレッスン・表現する楽しさ~」
まかないつき学費 2,000円
定員 30名

観客の体験や思いをその場で再現(プレイバック)する即興劇、それがプレイバックシアターです。店主と同じ世代の方でしたら、山口百恵さんのあの歌を思わず「プレイバック」されるのではないでしょうか。かっこいい響きですね。
第33回のりっつん夜学では「プレイバックシアター入門」で世界50カ国の人に愛されている新しいコミュニケーションスキルを知って考えます。
即興芸術やエンターテインメントとして、あるいはレクリエーションやくつろぎの場、心理療法としてさまざまな領域で活用されている「プレイバックシアター」は、参加している人々の人の生き方に新たな視点やあり方をもたらしま【した】。っと、先日、中野で体験させていただいた身内も目から鱗だったようです。
話を聴いたらすぐにその話を再現(プレイバック)、再現する人(アクター)は必然的に真剣に話しを聴くことを体感し、話す人(テラー)は自分の話を大切に受け取ってもらうことを体感する。百聞は一見に如かず。いつもいつも自分の思いの百分の1しか伝えられない店主も初めての体験。「ひと夏の経験」をみなさんと楽しめれば幸せに存じます。

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